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空き家は「売るか残すか」では判断できない——4/20開催セミナー報告配信日:

2026年4月20日(月)、オンラインにて空き家相談セミナーを開催しました。八ヶ岳西麓(茅野市・原村・富士見町)に空き家を持つ方、相続予定の方を中心に、ご参加いただきました。

このセミナーで一貫してお伝えしたのは、ひとつの視点でした。

空き家は、「売るか残すか」では判断できない。 その土地で暮らしが成立するかどうかがすべて。

短いセンテンスですが、ここに八ヶ岳ライフが空き家相談で大切にしている軸が全部入っています。当日参加できなかった方にも届くよう、お話しした内容を整理してお伝えします。


なぜ「売るか残すか」では判断できないのか

空き家の相談は、たいてい次のどちらかから始まります。

  • 親が亡くなって実家が空いた。どう処分すればいいか
  • 別荘を使わなくなった。売れるなら売りたい

そして多くの場合、相談先で最初に問われるのは「いくらで売れますか」「解体するといくらかかりますか」という金額の話です。

ですが、八ヶ岳西麓の空き家——標高900〜1500m帯にある住宅——は、金額の話から入ると判断を間違えます。

理由はシンプルで、この地域の空き家は宅地単体では成立していないからです。

  • 畑がついている
  • 井戸や沢からの水を使ってきた
  • 排水は地形に沿って流している
  • 区や財産区に加入している
  • 冬の薪・除雪・凍結対策が前提の建物になっている

これらは、登記簿にも査定書にも出てきません。でも、その土地で暮らしが続いてきた実体です。これを見ずに「売る/残す」を決めると、買主側でも売主側でも無理が出ます。


セミナーで反響の大きかった3つの論点

① 売れる/売れないの分岐

売れる空き家と売れない空き家を分けるのは、築年数や立地の見栄えではありません。暮らしを再開できる素地が残っているかです。

具体的には、

  • 区加入の状態が継続しているか、再加入できるか
  • 水利(井戸・沢・上水)が機能しているか
  • 接道と排水経路が法的にクリアか
  • 農地が付いている場合、農地法3条・5条の整理が見えているか

このあたりが整理できていれば、たとえ建物が古くても買主は見つかります。逆に、宅地だけ綺麗に残っていても、地縁が切れ、水と排水の経路が不明瞭な物件は、現代の流通市場では止まります。

② やってはいけない判断

セミナー中、いちばん質問が集中したのが「やってはいけない判断」でした。代表的なのは2つです。

「とりあえず解体」 解体補助金が出るからと先に建物を壊してしまうと、農地付き宅地の場合、その後の農地法手続きや固定資産税の扱いが一気に不利になることがあります。解体は最後の選択肢として位置づけ、再生・部分活用・現状買取と並べて検討すべきです。

「とりあえず空き家バンク登録」 登録自体は悪くありません。ただ、登録すれば売れるわけではなく、登録前に整理しておくべき書類(境界・水利・区加入)がそのままだと、問合せが来ても進まない相談で終わります。

③ 買取できる条件

八ヶ岳ライフは仲介だけでなく、自社買取で空き家を引き受けています。買取の判断基準として、当日お伝えしたのは次の点です。

  • 境界が未確定でも、現況で立会の素地があるか
  • 残置物があっても、引き受けて整理できる範囲か
  • 共有名義・相続未登記でも、関係者と話し合える状態か
  • 農地付きでも、農転・農振除外の道筋が見えるか

これらを内部で行政手続きを含めて処理できるのが、自社買取の強みです。「仲介で断られた物件」が、自社買取に切り替えると動き出すケースは少なくありません。

なお、買取価格の根拠については、不動産鑑定士の評価軸でご説明しています。「なぜこの金額なのか」を、土地そのものの価値・地縁・周辺の買取機会・行政手続きの素地まで含めた一体評価で開示します。査定書を見ながら、ご納得いただいた上で進めるのが八ヶ岳ライフのやり方です。


当日いちばん質問が集中したテーマ

セミナー後半で、参加者の方から特に質問が集中したのが冬の生活実務でした。

  • 凍結対策はどこまで必要か
  • 除雪は誰がやっているのか
  • 薪の確保は現実的にできるのか
  • 区加入は負担が大きくないか

これらは、空き家を「再開できる暮らし」として見るときに必ずぶつかる問いです。八ヶ岳西麓の冬は、設備で全部解決しようとすると固定費が膨らみます。逆に、地形・日射・地縁を踏まえた設計をすれば、固定費を抑えながら暮らしが続きます。

このときに私たちが使っている判断軸が、分散・自給・低依存・地縁・可逆の5つです。電気や水のどれかが止まっても暮らしが続くか。畑や薪で食と燃料の基本が回るか。区や近隣との関わりが対等な関係として成立する設計か。将来、縮小・転用ができる柔軟さが残っているか。

5つすべて満たせば、その空き家は暮らしの素材として強い。1つでも根本から崩れていれば、無理に動かさない判断もあります。「進む時と退く時」を見極めるための軸として、参加者の方には腑に落ちた様子でした。


ご相談を受け付けています

セミナーに参加されなかった方も、個別にご相談いただけます。 特に次のような場合は、お早めにご連絡ください。

  • 相続した空き家の判断軸が分からない
  • 解体すべきか迷っている/解体補助金の使いどころが分からない
  • 農地付き空き家で、行政手続きの全体像が見えない
  • 他社で「売れない」「扱えない」と言われた

電話・メール・現地での面談、どの形式でも対応しています。冬の凍結対策、薪の確保、区との関係——空き家を判断するときに見落とされがちな生活実務の部分まで含めて、一緒に考えていけたらと思います。

お問い合わせ

なお、セミナーは今後も定期的に開催予定です。日程が決まり次第、当サイトでご案内します。

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セミナー講師情報

朝倉 宏典

朝倉 宏典

八ヶ岳ライフ株式会社 代表 /
不動産鑑定士

長野県茅野市出身。2012年に地元密着の不動産会社「八ヶ岳ライフ」を設立。不動産の適正価値を見極める国家資格「不動産鑑定士」を保有し、年間300件以上の相談実績を持つ。特に八ヶ岳エリア(茅野市・原村)において、他社では取り扱いが難しい空き家や放置物件の再生・買取に力を注いでいるのは、「不動産を通じて故郷に貢献したい」という想いがあるからです。Youtubeでも、相続した空き家・土地・畑などの処分や活用に関する役立つ情報を発信しています。地元出身者ならではのネットワークと専門知識を活かし、皆様の「空き家」にまつわる不安を解消し、次世代へつなぐお手伝いをいたします。

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