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3年放置すると、選択肢が半分になる——八ヶ岳西麓の空き家相談から配信日:

「とりあえず様子を見る」が一番コストがかかる

実家が空き家になったとき、多くの人がまず選ぶのが「しばらく様子を見る」だ。

急いで決める必要はない、という判断は分かる。「3年前に亡くなった父の家がそのままになっている」——そういう状況で、すぐに動けないのは当然だ。判断が難しいのであって、怠慢ではない。

ただ、八ヶ岳西麓(茅野市・原村・富士見町)で空き家・相続物件の相談を受けてきた経験から言うと、「様子見」が一番コストがかかるケースが多い。建物は使わなければ傷む速度が上がるからだ。


 放置で起きる4つのこと

① 建物の劣化が加速する

住んでいる家は、生活の熱や湿度の循環で意外と保たれている。空き家になった途端、この循環が止まる。

八ヶ岳西麓は標高900〜1,500mの帯に集落が点在する地域だ。冬は厳しく、標高1,000m前後でも最低気温がマイナス10度を下回る日がある。水道管の凍結・破裂は、冬前に水抜きをしていなければほぼ確実に起きる。

「2月に現地を確認しに行ったら床下が濡れていた」という相談は毎年ある。一度凍結で水が漏れると、床下・壁内が濡れ、春になってカビが一気に広がる。それが数年繰り返されると、構造材まで傷む。「解体するしかない」という結論になるのは、ここから先の話が多い。

 ② 防犯・防災上の問題

空き家は視覚的に「誰もいない」と分かる。雨戸が閉まりっぱなし、庭が荒れている、ポストに郵便が溜まっている——こうした状態は、不法侵入・不法投棄・放火のリスクを上げる。

隣家との距離が近い集落内の物件では、近隣からの苦情が入るケースもある。

③ 税負担が変わる可能性がある

空家対策特別措置法(空家特措法)の改正(2023年)により、「管理不全空き家」に指定されると固定資産税の住宅用地特例が解除され、税額が最大6倍になる可能性がある。

「特定空家」に進むと、行政指導→勧告→命令→行政代執行という流れになり、行政代執行で解体された場合は費用が所有者に請求される。

ただし、いきなり指定されるわけではない。管理不全空き家や特定空家の指定には行政の調査・通知・猶予がある。早めに相談を入れれば十分に対処できる。

### ④ 近隣・地縁関係への影響

八ヶ岳西麓の集落では、区(自治組織)が機能している地区が多い。草刈り・道路維持・水路清掃など、集落の維持管理に地権者が関わる慣行が残っている。

空き家になり管理が途切れると、近隣の方が草刈りや除雪を引き受けざるを得なくなるケースがある。それが数年続くと、地縁関係に影響が出る。物件を売るときや、次の買い手に引き渡す際に、この蓄積が重くなることがある。


「解体一択」ではない

空き家の問題を整理すると、選択肢は大きく4つある。

1. **現状のまま売却・自社買取**:建物付きで買い取る。リフォーム・解体の判断は買い手側で行う
2. **リノベーションして売却・活用**:費用と手間がかかるが、建物の価値を残せる
3. **解体して土地として売却**:買い手の間口は広がるが、解体費用がかかる
4. **農地・土地の部分活用を先行**:建物は後回しにして、農地や庭先の土地から整理を始める

どれが正解かは、建物の状態・土地の種別(宅地・農地・山林)・相続人の状況・地域の需要によって変わる。

うちが自社買取で引き受けるのは、「仲介では動かない」と言われた状態のものが多い。境界未確定・残置物あり・共有名義・農地付き・相続未登記——こうした案件は、行政調整から一括で動ける体制でないと前に進まない。


今すぐ動かなくていい。でも、状態の確認だけはしておく

「放置のリスク」は「急いで動かないといけない」という意味ではない。

大事なのは、今の状態を把握しておくことだ。

- 水道管の水抜きはされているか
- 建物の状態(屋根・床下・基礎)はどうか
- 登記名義は誰になっているか
- 区への連絡は入れてあるか

これだけ確認しておくだけで、次の判断が動きやすくなる。

茅野市・原村・富士見町の空き家・相続物件については、現地での状態確認から相談を受け付けている。解体・売却を急かすことはしない。まず状態を一緒に見るところから始めたい。

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朝倉 宏典

朝倉 宏典

八ヶ岳ライフ株式会社 代表 /
不動産鑑定士

長野県茅野市出身。2012年に地元密着の不動産会社「八ヶ岳ライフ」を設立。不動産の適正価値を見極める国家資格「不動産鑑定士」を保有し、年間300件以上の相談実績を持つ。特に八ヶ岳エリア(茅野市・原村)において、他社では取り扱いが難しい空き家や放置物件の再生・買取に力を注いでいるのは、「不動産を通じて故郷に貢献したい」という想いがあるからです。Youtubeでも、相続した空き家・土地・畑などの処分や活用に関する役立つ情報を発信しています。地元出身者ならではのネットワークと専門知識を活かし、皆様の「空き家」にまつわる不安を解消し、次世代へつなぐお手伝いをいたします。

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