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空き家の落雪や倒木で隣に損害が出たら、誰が責任を負う?——茅野市・原村・富士見町の空き家に多い2つの原因配信日:
空き家の落雪や倒木で隣に損害が出たら、誰が責任を負う?——茅野市・原村・富士見町の空き家に多い2つの原因
空き家を放置するリスクというと、建物が傷む・税金が続く・売りにくくなる——といった「自分が損をする話」が中心になりがちです。実務でご相談を受けていて、いちばん重く、いちばん急に来るのは別のほうです。他人に損害を与えてしまったときの責任。
そしてこの十数年で、この話の形が変わりました。実家を相続する方の多くが、すでに県外で暮らしています。家と責任だけがこの土地に残り、判断できる人が現地にいない——ご相談の入口は、たいていこの状態です。
八ヶ岳西麓(茅野市・原村・富士見町)で引き金になるものは、ほぼ二つに絞れます。雪と、敷地の木です。どちらも、人が住んでいる家ではまず問題にならず、無人の家でだけ静かに育っていきます。
空き家が原因で近隣に損害が出たら、所有者が責任を負いますか?
原則として、所有者が責任を負います。 民法717条(土地の工作物等の占有者及び所有者の責任)では、建物・塀・擁壁といった土地の工作物の設置や保存に不備があって他人に損害が生じた場合、まず占有者が、占有者が必要な注意を尽くしていたときは所有者が責任を負うとされています。空き家は所有者自身が占有者を兼ねていることがほとんどなので、実際には所有者に返ってきます。竹木の倒壊についても、同条が準用されます。
具体的にご相談があるのは、こうしたものです。
- 屋根から落ちた雪が、隣家の物置・カーポート・駐車中の車を壊した
- 雪の重みや経年でブロック塀・板塀が道路側へ倒れた
- 傷んだ庇や雨樋、アンテナが落下した
- 敷地の枯れた木が、隣地や道路に倒れた
金額の感覚も持っておいたほうがよいと思います。カーポートは屋根材の交換で済めば数万円、支柱ごとの建て替えになると〔要確認:実額帯〕。倒れた木の伐採・搬出は1本あたり〔要確認:実額帯〕が目安です。修理費そのものより、その後の関係のほうが長く残ります。
なお、実際の責任の有無や金額の判断は個別事情によります。事故が起きた場合は弁護士・保険会社にご相談ください。
八ヶ岳西麓で特に起きやすいのは、どんなケースですか?
落雪と、放置された庭木・林縁の木の二つです。 どちらも標高900〜1300m帯の空き家に共通して見られます。
雪は、降る量そのものより「落ちる向き」の問題です。この地域は一度に20〜30cmの積雪が冬に数回。住んでいる家なら、屋根の雪が隣家側に落ちる向きだと分かった時点で、雪止めを付ける・落ちる前に下ろす・その位置に物を置かない、といった手が打たれています。無人の家では、誰もその判断をしません。屋根の形と隣地との距離だけが、そのまま残ります。
木も同じ構造です。人が住んでいれば、庭木は「気になった年」に切られます。空き家では、松枯れで立ち枯れた赤松も、道路側に張り出したカラマツの枝も、誰も気にしないまま太くなります。湿った重い雪と冬の風は、その弱った木から折ります。
隣地に越境した枝については、2023年4月施行の改正民法(233条)により、隣地の方が催告しても切除されない場合などには自ら切ることができるようになりました。ただ、切除費用を請求される可能性がある以前に、切られてから事情を知る関係になってしまうことのほうが、その後の売却や管理では効いてきます。
朝倉の所見——傷み具合より先に見るもの
査定でうかがったとき、近隣とトラブルになっている家と、同じ築年数・同じ放置年数でもなっていない家があります。分かれ目は建物の傷み具合ではなく、年に一度でも人がその敷地に立っているかどうかでした。年1回でも来て、雨樋と枝と塀を一周見ている家は、冬に大事になりません。
もう一つ、実務で必ず感じることがあります。事故が起きてから連絡が来る家は、たいてい区(集落)との連絡先が切れています。区の側も、放っておきたいわけではないのです。「雪が隣に落ちそうだと言ってあげたいが、連絡先が分からない」——現地でよくうかがう言葉です。ですから私は空き家の相談を受けるとき、屋根や基礎より先に「区や隣の方との連絡は、いま生きていますか」とうかがっています。
名義が親のままでも、相続人に責任はありますか?
相続登記が済んでいなくても、相続人が責任を免れるわけではありません。 遺産分割が終わるまでは相続人全員の共有として扱われ、管理の責任も共有されます。
やっかいなのは、責任だけが人数分に広がり、判断のほうは止まることです。「兄と連絡が取れないので、塀を直すかどうか決められない」という状態のまま冬を越す——これは珍しい話ではありません。名義の整理は、売るための手続きであると同時に、事故が起きたときに動ける状態を作っておく手続きでもあります。
(相続登記そのものの進め方は、相続未登記と残置物——空き家が「動かせない家」になる前にで整理しています)
遠方に住んでいて、今できることは何ですか?
優先順位は、①区と隣家に連絡先を渡しておく、②雪と木の二つだけ年1回見る、③持ち続けるか手放すかを事故の前に決める、の順です。
見るポイントは絞って構いません。
- 屋根の雪がどちら側に落ちるか。その先に隣家の建物・車・通路がないか
- 塀・擁壁の傾き、庇や雨樋の外れ
- 敷地内の枯れた木、道路や隣地に張り出した枝
- 火災保険の契約内容(空き家になると住宅としての扱いが変わり、補償の範囲や賠償の特約が想定どおりでない場合があります。保険会社への確認を)
冒頭の問いに戻ります。落ちた雪の責任は、原則としてその家を持っている人にあります。逆に言えば、雪と木を年に一度見ておくだけで、その多くは起こらずに済みます。そこまで手が回らないと感じたときが、持ち続けるか手放すかを一度整理してみるタイミングです。責任は、通えないことを理由に軽くはなりません。
売る決心がついていない段階でも構いません。今いくらで、どんな売り方があり得るのかを知っておくだけでも判断は変わります。査定はこちらからご相談いただけます。茅野市・原村・富士見町の空き家・農地付きの家・山林を、不動産鑑定士が現地を見たうえで評価します。
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八ヶ岳ライフ株式会社 代表 /
不動産鑑定士
長野県茅野市出身。2012年に地元密着の不動産会社「八ヶ岳ライフ」を設立。不動産の適正価値を見極める国家資格「不動産鑑定士」を保有し、年間300件以上の相談実績を持つ。特に八ヶ岳エリア(茅野市・原村)において、他社では取り扱いが難しい空き家や放置物件の再生・買取に力を注いでいるのは、「不動産を通じて故郷に貢献したい」という想いがあるからです。Youtubeでも、相続した空き家・土地・畑などの処分や活用に関する役立つ情報を発信しています。地元出身者ならではのネットワークと専門知識を活かし、皆様の「空き家」にまつわる不安を解消し、次世代へつなぐお手伝いをいたします。










