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茅野市・原村・富士見町の空き家は、ひと冬の放置で何が壊れるのか——凍結・漏水・雪の重み開催予定日:

茅野市・原村・富士見町の空き家は、ひと冬の放置で何が壊れるのか——凍結・漏水・雪の重み
空き家のご相談がいちばん増えるのは、雪が消えたあとの4月から5月です。県外にお住まいの相続人の方から、決まって同じ言葉をうかがいます。
「去年の秋に見たときは、なんともなかったんです」
なんともなかったのは本当です。秋の家はたいてい、まだ普通に住めそうに見えます。変わるのは、そのあとの4か月です。八ヶ岳西麓(茅野市・原村・富士見町)の空き家は、標高900〜1300mの冬をひと冬越すごとに、都市部の空き家とはまったく違う壊れ方をします。しかも、壊れているあいだ、誰も見ていません。
この記事は「早く決めてください」という話ではありません。冬に何が起きるかを先に知っておけば、慌てて解体する以外の道が残る——その順番の話です。
なぜ空き家は、冬を越すと急に傷むのか?
人が住んでいる家では毎日動いている「水」と「熱」と「空気」が、空き家では同時に止まるからです。
住んでいる家は、朝晩に水が流れ、暖房が入り、窓を開ければ湿気が抜けます。この三つが動いているだけで家は勝手に守られていて、空き家になると、それが一度に止まります。3町村の冬は、朝の冷え込みが氷点下十数度になる日が珍しくありません。日中に緩んで、夜にまた凍る。この「凍ってはゆるむ」の繰り返しが、水を含んだ部分を壊していきます。都市部の空き家が時間をかけて傷むのに対し、こちらはひと冬という単位で段差がつく。ここが決定的な違いです。
水を抜かずに冬を越すと、家の中で何が起きるのか?
水道管や給湯器が凍って割れ、春先に水が通った瞬間、誰もいない家の中で水が出続けます。
誤解されやすいのですが、被害が出るのは凍った瞬間ではありません。凍って膨らんだ水が管を割り、その割れ目が気温が緩んで通水したときに一気に噴き出す。つまり、壊れているのに気づかないまま春を迎えます。
割れやすい場所は決まっています。
- 屋外の散水栓・立ち上がりの露出配管
- 給湯器(とくに屋外設置のもの)と、そこにつながる配管
- 便器・ロータンク・温水洗浄便座
- 洗面台や洗濯機まわりの混合水栓
そして本当に痛いのは、水道管の交換費用ではありません。誰もいない家で、何日も、あるいは何週間も流れ続けた水が、床下と壁の中に入ることです。土台や柱の足元が濡れたまま春を迎えると、腐朽菌が入り、カビが回ります。ここまで来ると、直すか壊すかの判断が一段重くなります。
この地域の家の多くには、水抜き栓(不凍栓)が付いています。もともと冬に水を抜いて使う前提で建てられている、という意味です。ところが相続で引き継いだ方は、その栓がどこにあるかを知らない。前の所有者だけが知っていた作法が、そのまま途切れてしまうのが空き家です。
もうひとつ、見落とされがちな点があります。凍結防止帯(配管に巻いてあるヒーター)は電気で動いています。「誰も住まないから」とブレーカーを落とすと、ヒーターも止まります。水を張ったままブレーカーだけ落とすのが、いちばん壊れる組み合わせです。電気を止めるなら、先に水を完全に抜く。順番が逆になると一冬で結果が出ます。
雪の重みは、家のどこから壊していくのか?
母屋の屋根より先に、あとから足したものから潰れます。
カーポート、物置、下屋(げや)、濡れ縁の屋根、雨樋、テレビアンテナ。人が住んでいれば雪が積もる前に落としたり、様子を見て雪下ろしをしたりする部分です。誰も来ない家では、そこに雪が乗り続けます。
湿った雪が降ったあとに冷え込むと、雪は氷に近い重さになります。屋根に雪止めが付いている家は、その雪が落ちずに屋根の上に残ります。さらに軒先で解けて凍り、氷の帯ができると、屋根を流れるはずだった水が行き場を失って屋根の裏側から室内に入る。この地域で「すが漏り」と呼ばれる現象で、雨漏りと違って晴れた日に起きます。天井にシミが出ていて、雨は降っていない——空き家で見かける典型です。
そしてもう一つ、静かな問題があります。冬のあいだ、家に近づけなくなることです。アプローチが雪で埋まり、玄関前に落雪が積み上がると、たとえ何かが起きていても、春まで誰も確認できません。発見が3か月遅れる、というのは、この地域の空き家では普通に起こります。
空き家の冬は、隣の家と区にとって何が困るのか?
雪の落ち先と、除雪の手間が、そのまま隣の人と区(自治会)に回るからです。
3町村では、生活道路の除雪や水路の管理を、区(自治会)の共同作業で回している場所が多くあります。空き家の前の道も、誰かが雪をかいています。屋根から隣地に落ちる雪も、誰かが片づけています。所有者が県外にいる間、その分の手間は消えるのではなく、隣に移っているだけです。
さらに、落雪で隣の車庫や車を傷めれば、管理の責任は所有者に戻ってきます。ここは金額の話というより、あとで効いてくる話です。境界の立会い、水路や通行の取り決め、買い手が来たときの周囲の空気——空き家を動かそうとする段階で必要になるものは、ほとんどが隣の人と区との関係の上に乗っています。冬のあいだに積み上がった負担は、売るときの手続きの重さになって返ってきます。
税負担についても一点だけ。2023年12月施行の改正空家法で、特定空家になるおそれのある状態は「管理不全空家等」として指導・勧告の対象になり、勧告を受けると土地の固定資産税の住宅用地特例が外れます。雪と落雪の放置は、その入口になり得ます。 制度の中身は特定空家・行政指導の記事にゆずります。
冬を何度も越した空き家は、値段にどう響くのか?
下がるのは建物の値段ではありません。減るのは「選べる道の数」です。
不動産鑑定士としてお伝えすると、木造住宅の建物価格は、築年数が進めば計算上ほとんど残りません。だから「傷んだから建物が安くなった」という説明は、実はあまり正確ではないのです。築40年の家は、傷んでいてもいなくても、値段の大半は土地の側にあります。
では冬を越すたびに何が変わるのか。そのまま人が住める家か、直せば住める家か、壊すしかない家か——この区分が変わります。
- 水が回っていない家:買い手が自分で直して住める。仲介でも自社買取でも道がある
- 床下・柱の足元まで水が入った家:直す側の費用が跳ね上がり、直して住みたい人が消える
- 屋根や下屋が潰れた家:解体前提になり、解体費の分が土地の値段から引かれる
つまり、値段そのものより先に、選択肢のほうが消えていく。「解体するしかないと言われました」というご相談の多くは、判断が遅かったのではなく、判断する前に冬を2回、3回と越してしまった結果です。壊してからでは戻せません。
遠くに住んでいる場合、この冬にできることは何か?
完璧な管理を目指す必要はありません。「水を抜く」「雪の落ち先をあける」「誰かが見に行ける状態にする」の三つで、壊れ方はかなり変わります。
- 水を抜く。 水抜き栓の位置と操作の作法を確認する。給湯器の水抜き、便器の水を抜いて不凍液を入れる、屋外散水栓を閉める。前の所有者が使っていた手順が残っていれば、それが最良の資料です。
- 電気の切り方を決める。 凍結防止帯を効かせて通電したままにするのか、完全に水を抜いて電気を止めるのか。どちらかに決める。中途半端がいちばん壊れます。
- 雪の落ち先をあけておく。 隣地側に落ちる屋根、カーポート、物置。潰れるものは片づけるか補強しておく。
- 見に行ける人を決めておく。 近所の方、区の隣組、あるいは管理を頼める先。「冬のあいだ一度も誰も見ない」状態だけは避ける。
- 売却や買取を考えるなら、雪が消える前に相談を始める。 春に動き出すと、現地の確認・境界・農地や山林が付いている場合の手続きで、そのまま1シーズン遅れます。
3町村の空き家は、母屋だけで完結していないことがほとんどです。畑が付いている、裏に山林がある、水路が敷地際を通っている。家の話だと思って始めると、土地の話で止まります。 だからこそ、冬の前に一度、全体を並べておく意味があります。
まとめ——冬に減るのは値段ではなく、選べる道
空き家が動かなくなる理由は、その家が悪いからではありません。冬のあいだ、誰も見ていない時間が積み上がるからです。凍って割れ、春に水が回り、雪が重いものから潰し、隣の負担が静かに増えていく。そのすべてが、所有者の見ていないところで進みます。
そして冬を越すたびに減るのは、値段よりも先に、選べる道のほうです。直して住む道、そのまま買い取ってもらう道、畑や山林とセットで手放す道——それらが一つずつ閉じてから「解体するしかない」に行き着きます。
順番を逆にしないでください。壊すかどうかを決める前に、まだどの道が開いているかを見る。 その確認は、雪が積もる前でも、消えた直後でも間に合います。
八ヶ岳ライフでは、茅野市・原村・富士見町の空き家について、建物だけでなく、付いている畑・山林・水路・境界・区との関係まで一体で見たうえで、自社買取・仲介・そのまま活用のどれが現実的かをお伝えしています。値段がつかないと言われた家でも、土地の側から読み直すと動くことがあります。
よくある質問
Q. 雪で下屋やカーポートが潰れました。もう解体しかないでしょうか? 潰れたのが母屋以外であれば、解体一択にはなりません。母屋の構造と、水が入っているかどうかで判断が変わります。壊す前に一度、現地を見せてください。壊してからでは戻せません。
Q. 空き家を放っておくと固定資産税が上がると聞きました。本当ですか? 改正空家法で「管理不全空家等」への指導・勧告の仕組みができ、勧告を受けると土地の住宅用地特例が外れます。税額の上がり方は敷地の条件によって変わるので一律ではありませんが、負担は重くなります。詳しくは特定空家・行政指導の記事をご覧ください。
Q. 実家に畑と山林が付いています。家だけ先に相談してもいいですか? できますが、多くの場合そこで止まります。畑は農地法、山林は境界や伐採の手続きが絡み、家単体では出口が決まらないためです。最初から全部を並べたほうが、結果的に早く進みます。
Q. 冬のあいだに、売却の準備を進めることはできますか? できます。雪で現地が見えなくても、登記簿・公図・固定資産税の課税明細をそろえ、どの筆がどうつながっているかを並べるところまでは冬のうちに済みます。ここが終わっていれば、雪が消えた直後に現地確認へ入れます。春から資料集めを始めると、その年のうちに動かないことが多いです。
出典
改正空家等対策特別措置法(令和5年法律第50号・2023年12月13日施行)による「管理不全空家等」の新設と勧告時の住宅用地特例の除外:国土交通省 空き家対策特設サイト。凍結・積雪・すが漏りに関する記述は、八ヶ岳西麓(標高900〜1300m帯)での当社の現地確認にもとづきます。
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八ヶ岳ライフ株式会社 代表 /
不動産鑑定士
長野県茅野市出身。2012年に地元密着の不動産会社「八ヶ岳ライフ」を設立。不動産の適正価値を見極める国家資格「不動産鑑定士」を保有し、年間300件以上の相談実績を持つ。特に八ヶ岳エリア(茅野市・原村)において、他社では取り扱いが難しい空き家や放置物件の再生・買取に力を注いでいるのは、「不動産を通じて故郷に貢献したい」という想いがあるからです。Youtubeでも、相続した空き家・土地・畑などの処分や活用に関する役立つ情報を発信しています。地元出身者ならではのネットワークと専門知識を活かし、皆様の「空き家」にまつわる不安を解消し、次世代へつなぐお手伝いをいたします。










